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黒澤明財団への寄付金、3億8800万円不明(読売新聞)

 佐賀伊万里市で計画されている「黒澤明記念館」建設を巡り、事業主体の黒澤明文化振興財団(黒澤久雄理事長)が保有する現金や預金などの流動資産が、2008年3月末で約140万円しかないことが、県に提出された決算報告書で分かった。

 同財団はこれまでに建設費用として寄付金約3億8800万円を集めたことになっており、同市は財団に詳細な説明を求める。

 記念館建設構想が持ち上がったのは1998年。市は映画界の巨匠、黒澤監督の長男、久雄氏が社長を務める黒澤プロダクションと記念館をつくる合意書に調印、記念館建設と監督ゆかりの資料の提供を受ける権利を1億500万円で取得した。

 財団は翌99年に設立。数度の計画見直しを経て、監督生誕100年の2010年開館を表明しているが、建設費用(19億円)となる寄付金は昨年11月末現在、企業・団体28、個人600人からの総額約3億8800万円にとどまっている。

 財団を監督する佐賀県市町村課によると、財団の07年度の決算報告書では、08年3月末時点で、保有している流動資産は約140万円。保有資産はほかに、固定資産として監督直筆の絵コンテ(6000万円相当)など計1億3840万円で、流動資産と合わせて計約1億4000万円。借入金などの負債約5000万円を差し引くと正味財産は約9000万円になる。

 定款上は、使途の指定がなければ寄付金を運用に回すことは可能という。財団は07年度決算報告書を、提出期限を約1年過ぎた昨年5月に提出。昨年6月が提出期限の08年度決算報告書は提出されていない。

 財団の田畑稔常務理事は昨年12月に市を訪れ、「寄付金は残している」と説明していた。佐賀県市町村課は「伊万里市などへの報告額は把握していなかったが、財団に事実関係を確認したい」としている。

 伊万里市の塚部芳和市長は「寝耳に水。財団からの正式な説明を受けて議会とともに対応したい」とコメントした。田畑氏は現在、生誕100周年事業の協議で渡欧中で、市からは連絡が取れないという。

 ◆黒澤明記念館=黒澤監督の偉業を受け継ぐ映画芸術の複合文化施設。敷地面積約1万4000平方メートル、施設面積5200平方メートルで、映画制作技術習得の学校やシネマ・コンプレックスなどの機能を持つ。建設予定地は伊万里市黒川町の「伊万里ファミリーパーク」内。佐賀県唐津市の名護屋城跡で行われた「乱」のロケの合間に監督が伊万里市を訪れ、港に沈む夕日を見て気に入ったとされる。

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